坂田幸雅 Web作品展
~京都を描いた10年の軌跡~
2021年10月23日公開
坂田幸雅
さかた ゆきまさ
- 1970年 京都市生まれ
- 1991年 京都芸術短期大学洋画コース卒業
- 1993年 京展
- 1995年 関西独立展
- 1995年 京展 紫賞
- 1996年 独立展 初入選
- 2013年 あかね画廊3人展(13~19年)
- 2014年 関西独立展 奨励賞
- 2017年 独立展 佳作賞
- 2018年 独立展 山田文子賞
- 2019年 独立春季新人選抜展 奨励賞
- 2021年 独立展 独立賞
- 現 在 独立美術協会準会員
2011 京都シリーズ最初の絵
「京都再考~八坂の塔からの眺め~」
アクリラガッシュ絵の具 130F(162cm×194cm)
京都の絵を描き始めた最初の作品。
京都らしい風景とは「有名な建物」、「瓦屋根の並ぶ景色」だろうか。
2011年独立展に出品
2011年から京都をモチーフにしはじめました。
生まれ育った京都の風情ある町並みがどんどん失われていると感じていた時期です。
それまでは、長い間、海外旅行の想い出をテーマに描いていましたが、「わざわざ京都に絵を描くために訪れる方がおられる街」で暮らしているのだからと、京都を描くことにしました。
京都のどこを描くのかを決めるのが大変難しい。
海外旅行では、テレビや雑誌で見た風景を求めて訪れていたり、旅で印象に残った場所だったり、そこからのイメージだったりしたのですけど。
2011年頃は、保存に関わった京町家のある「東山」を選びました。 「東山」は観光地ですが、絵葉書になるような風景を描くのはいかがなものかと迷いながら。
京都らしい風景とは。
瓦屋根のある風景なのか。
2011
「京都再考~八坂の塔を西から~」
アクリラガッシュ絵の具 100S(162cm×162cm)
京都らしい風景とは「有名な建物」のある風景だろうか。
その答えにと描いてはみたものの・・・
2011年関西独立展に出品
高いところからの視点、あまり知られていない視点をずいぶん探しました。
そのひとつ、京都に観光で来る多くの方が訪れる八坂の塔の中からの視点。
ほとんどの人が外から建物を見るだけ。
僕も絵になる風景を探し始めるまで知りませんでした。
時折、八坂の塔の南側の塀にある門が開かれていることがあります。
その時は、五重塔の中に入ることはできます。塔の中の力強い木組み、
歴史を感じる祈りの空間を見ることができます。
2011
「京都再考~東山の眺望~」
アクリラガッシュ絵の具 100F(162cm×130cm)
京都らしい風景を求め、高層階のレストランからの眺めを描いてみた作品です。
中央の遠方に清水寺が見えます。瓦屋根の建物は少なく、古いビルが目立つ。
2011年独立京都作家展に出品
2010年頃、京都市内を車で走っていると、京町家を取り壊す光景に度々目が留まるようになりました。 京町家保存の勉強会や見学会などに参加したりしました。
集まって「残して欲しいね」と言っていても、残らない。絵に描いても町中から減っていく町家は残らない。
町家の改修には、新築より高額となる場合があるなどを知りました。 賃貸では改修費を回収することが難しいことがわかりました。
参加した勉強会で、町家を宿泊施設として活用するビジネスモデルと出会い、町家を活かし残すことの可能性を見つけました。
2011
「京都再考~東山からの眺望~」
アクリラガッシュ絵の具 100S(162cm×162cm)
京都を見下ろせる場所を探し、東山の山腹から見つけた風景です。
2012年関西独立展、2012年独立展に出品
今から考えると、2010年頃は、バブル崩壊の余波で安かった。とはいえ、実際買うとなると高額。
市内を自転車で走っていて、売物件の看板がつけられ建物を見かけると電話をして概要を聞き、中を見せてもらったりもした。床が傾いていることが分かる建物も少なくなく、入ってみると、屋根が朽ちて空が見えるような建物もあった。
状態が良い建物、看板が目に止まる表通りに面した物件は、高額で、決断できるものとはなかなか出会えなかった。
物件を探しはじめ半年、町家を宿泊施設として活用する勉強会を開いていた不動産屋さんの紹介で祇園近くの小さな物件を購入することができました。
町家と言われても、表は壁に、中は店舗として使われた時期もあり酷い状態でした。
2012
「京都再考~東山の瓦屋根が見える眺望~」
アクリラガッシュ絵の具 100S(162cm×162cm)
京都には瓦屋根が並ぶ景色がある。そうイメージしていましたが、探してみると見つからない。
東山山腹から見つけた一角の風景。遠方にはビルが並ぶ。
2012年独立京都春季展 2013年独立展に出品
購入時、ひどいと思った町家もしっかり改修すると見違えるようになりました。表は格子の外観になり、痛んだ柱は補修され、水周りは新しく、階段の位置まで変えて現代の生活にも便利になりました。
改修後、一棟貸切の宿として活用しています。
しばらくは、取り壊されず、活かされると期待しています。
2012
「京都再考~京大和からの眺望~」
アクリラガッシュ絵の具 100F(162cm×130cm)
テレビドラマで見かける風景は料亭の庭からの景色でした。発表すると、独自性のあるもっと上からの視点などが良いのではとの意見され、俯瞰に取り組むきっかえになった作品です。
2012年独立京都作家展 2013年関西独立展に出品
京都には高層のたてものがほとんど無い。高い視点とらえば、ドローンかヘリコプター。
そんな思い付きから、ヘリコプターの見積もりを取って見た。絶妙の高額に申し込むまで半年悩みました。
ヘリコプターの話をしていたら、知人がセスナを持つ方と出会えたりもしました。
絵を描くためだったけれど、思わぬ経験ができました。
2013
「京都再考~俯瞰の試み~」
アクリラガッシュ絵の具 (81cm×81cm)
もっと上からの視点を試みて制作した4枚。
2013年独立京都春季展に出品
2013
「京都再考~八坂の塔があるあたり~」
アクリラ絵の具 100F(162cm×130cm)
八坂の塔がある観光客に人気の地域も空から見ると近代的な建物が目立つ。
2013年独立京都作家展 2013年関西独立展に出品
2013
「京都再考~瓦屋根の町並み~」
アクリラガッシュ絵の具 130F(162cm×194cm)
近代的な建物を瓦屋根の建物に書き換えてみた。
2012年独立京都作家展 2013年関西独立展に出品
瓦屋根の並ぶ風景を描いてみようと、複数の写真から瓦屋根を集め描いてみたりもしましたが、視点が定まらず、しっくりこない絵になりました。
2014
「京都再考~豊国神社あたりを俯瞰で見る~」
アクリラガッシュ絵の具 130F(162cm×194cm)
現実の景色から瓦屋根以外の建物を、瓦屋根の建物に変えて描いてみた作品です。
2015年独立展に出品
2014
「京都再考~色褪せぬ風情ある町並み~」
アクリラガッシュ絵の具 100S(130cm×130cm)
瓦屋根の残る祇園一角と建て代わっていく町。色を変えて表現することで、思いが伝わるか試みた作品です。
2014年独立京都春季展に出品 2014年独立展に出品
美術館で展覧会の様子。京都の会場では場所を確認して楽しんで下さる方が多くいます。 それは「絵の見方としてどうなのか 」との声も聞きますが、作者としては、足を止めていただけ嬉しいです。
2015
「京都再考~毎月21日は東寺の弘法さん~」
アクリラガッシュ絵の具 100S(162cm×162cm)
ヘリコプターで取材した日がたまたま21日で、弘法市の写真が撮れていた。
近代的な大きな京都駅ビル、小さな住宅と緑の残る広い東寺の伽藍が。
2015年独立展に出品
2015年2月19日から9月27日
2016
「京都再考~花見小路あたりを俯瞰で見る~」
アクリラガッシュ絵の具 100S(162cm×162cm)
京都を空撮してみて、瓦屋根の建物ががまとまって残っているのは祇園南側だけと分かり、その少なさを再認識。
2016年独立展に出品
うなぎの寝床といった奥に長い形状、土間のはしりや吹き抜けの台所、格子の表構えなどが最初に浮かばれるかと思いますが、昭和29年に改正された建築基準の法規で、それ以前の工法で建てられた建物って考え方が主流です。その法規の代表的な変更点が、壁により建物を支える工法と、柱で支える工法です。この基準が定義の主流になっているのは、思い浮かばれた基準の物件が非常に少なく、活用できる状態で売買されることが非常に稀なためです。不動産業界がビジネスとして京町家という言葉を使うには、建築基準の法規を根拠にすることが都合がよいためでしょう。
2017
「京都再考~四条大橋あたりを俯瞰で見る~」
アクリラガッシュ絵の具 130F(194cm×162cm)
京都で一番にぎやかなあたり四条河原町交差点、鴨川の四条大橋。
2017年独立展に出品
2017年3月独立選抜展
2017年7月グループ展
2017
「京都再考~五条大橋あたりを俯瞰で見る~」
アクリラガッシュ絵の具 100S(162cm×162cm)
鴨川の五条大橋。南西側には昭和から時間が止まったような一角があります。
ここ数年、新しい店ができるなど、少し変化がはじめています。
2017年関西独立展 2017年独立展に出品
保存に関わった京町家があります。
2018
「京都再考~鴨川上空から俯瞰で見る~」
アクリラガッシュ絵の具 130F(194cm×162cm)
鴨川の五条大橋あたり上空から西を見ています。東本願寺が雲間から見えています。遠方にはJR嵯峨野線・丹波口駅も見えます。
2018年独立展に出品
2020
「京都再考~鴨川上空から俯瞰で見る~(加筆)」
アクリラガッシュ絵の具 130F(194cm×162cm)
2021年、コロナ禍で発表の機会が少なく旧作に手を加え、雲をなくすことができました。
2021年独立京都作家展に出品
時の流れを感じる表現ができないかと雲を描いたことにしていますが、いつ締め切りになってもとの事情もあって結果そうなっていました。
2018年7月、2ヶ月前のグループ展に出品した段階です。
1週間手を加え、京都作家展に出品した段階です。
1ヶ月手を加え、独立展に出品した段階です。
2ヶ月手を加え、雲が無くなった段階です。
2018
「京都再考~京都駅上空から俯瞰で見る~」
アクリラ絵の具 130F(194cm×162cm)
京都らしい風景は京都タワーがある風景か。京都駅ビルも幾分か馴染んできた。
2018年独立京都作家展 2018年独立展に出品
2019
「京都再考~京都駅前あたりを俯瞰で見る~」
アクリラガッシュ絵の具 100F(162cm×130cm)
どんどん広角の構図になりました。
意図したわけではなく、最後に空撮した時、選んだカメラのレンズが広角だったこと、パイロットさんが高く飛ばれたことで、口角の写真が撮れたのがひとつの要因です。写っていると描きたくなり、こんな構図になりました。
2019年独立選抜展に出品
2020
「京都再考~鴨川に沿って南方向を俯瞰で見る~」
アクリラガッシュ絵の具 130F(194cm×162cm)
コロナ禍で締切日を気にせず、雲のない俯瞰構図の絵を書くことができました。
2021年独立展に出品
2021
「京都再考~鴨川に沿って南方向を俯瞰で見る 夕景~」
アクリラガッシュ絵の具 130F(194cm×162cm)
絵から時の流れを感じる試み。同じ構図で夕景を描いてみました。
2021年独立展に出品